カビによる健康被害について
真菌類には、味噌や醤油、酒、チーズなどを発行させる酵母や食用されるキノコ類などの真菌類もあれば、カビと呼ばれる有害な真菌もあります。有害な真菌、いわゆるカビによる健康への悪影響としては、アレルギー性疾患や感染症、中毒性疾患があります。(※真菌=カビ)
これらのアレルギー性疾患や感染症、中毒性疾患などのアレルゲンがシックハウス症候群を引き起こす原因だと言われています。
シックハウスの原因となるアレルギー性疾患の種類
・気管支喘息・アレルギー性鼻炎・過敏性肺炎など
アレルギー性疾患とは
アレルギー性疾患とは、アレルゲンの1つであり、カビによる呼吸器アレルギー性疾患やアトピー性皮膚炎との関わりが懸念されています。カビによるアレルゲンを真菌アレルゲンと呼び、空気中に浮遊したりハウスダストや布団などに存在してます。空気中に浮遊している真菌アレルゲンについては、春から秋にかけて多くなり冬は減少する傾向にあります。真菌アレルゲンによる健康被害については、皮膚アレルギーやアレルギー性気管支肺真菌症、過敏性肺炎、アトピー性皮膚炎などがあります。
皮膚アレルギー:真菌抗原が皮膚に接触すると同時に皮膚アレルギーを起こす即時型や接触後7~8時間後に皮膚アレルギーを起こす遅発型、24時間~48時間に皮膚アレルギーを起こす遅延型があります。
アレルギー性気管支肺真菌症:アレルギー性気管支肺炎アスペルギルス症に代表されます。このアレルギー性気管支真菌症の関連として、気管支喘息、ABPA、過敏性肺臓炎、球菌症などが報告されています。
過敏性肺炎:ハウスダストの中に含まれる真菌や動物性たんぱく質などの抗原吸入によるアレルギー疾患と考えれます。加湿器病や日本独特の疾患として知られている夏型過敏肺臓炎のように一般家庭でも発症します。
アトピー性皮膚炎:ハウスダストの中に含まれる真菌や動物性たんぱく質などの抗原吸入によって発症します。
真菌症:真菌症は、カビが皮膚から進入して病変を起こします。真菌症には、皮膚やつめ、耳、角膜、皮下のリンパ管などから臓器や組織に真菌症を起こす浅在性真菌症や肺、脳、胃、腸、リンパ線、腎臓、膀胱などの臓器や組織に真菌症を起こす深在性真菌症などがあります。
カビ対策について
カビは常時湿気がある所に発生します。例えば、和室の畳とカーペットの間や浴室の内壁や天井、洗面所のマットやキッチンの水廻りなどに多く発生する傾向にあります。また、外壁に面した壁の入り隅部はヒートブリッジにより結露しやすく、押し入れやクローゼット、下駄箱の中は湿気がたまりやすいのでカビが発生しやすいです。
カビ対策としては、凹凸のある吹き付け塗装面やサイディングボードの目地部などがある壁などは、3~5年ごとに塗り替えるとカビは発生しずらくなります。また、浴室や洗面台、キッチンなどの湿気が多い水廻りの材料には防カビ仕様の材料を使用するようにしましょう。更に湿気の溜まりやすい押入れには、防腐処理をした木材を使用したり、仕上げ材のボードやボンドに防カビ剤入りを使用します。壁クロスなどには、透水性のある防カビ処理をしたものを使用したり、シーリング材や接着剤などの補助剤にも防カビ仕様品を使用するようにしましょう。
カビの原因となる湿気を取り除く為には、窓を開放したり除湿機や除湿剤などを使用しますが、木炭なども有効的だと言えます。
現在の家電製品のほとんどが、銀イオンなどの殺菌効果を用いた抗カビあるいは抗菌製品となっていますが、1度汚れてしまえば効果が発揮できず、湿気さえあればカビや菌は再び増殖しますので常に清潔にしておく必要があります。
カビの種類について
・クラドスポリウム(クロカビ)
クラドスポリウムは、カビの代表格となります。別名でクロカビと呼ばれており、本来は土や水の中にいるのですが、住宅内に入り込んで住み付いているものも多く、タイルの目地に生えている黒いカビのことです。クロカビの特徴としては、高温や低温、乾燥、防カビ剤にも強いといわれてるとてもタフなカビです。
・アルテルナリア(ススカビ)
アルテルナリアは別名でススカビとも呼ばれており、壁などにスス状に生えているカビです。ススカビの特徴としては、風呂場や洗面室、エアコン内部のプラスチックに繁殖します。また、胞子がとても軽いために空気中に飛散しやすくハウスダストに混じって空中を浮遊し、アレルゲンになりやすいためにシックハウス症候群を引き起こしやすいカビです。特に喘息を持っている人は注意が必要です。
・ペニシリウム(アオカビ)
ペニシリウムは別名でアオカビと言われており、クロカビ同様、カビの代表格となります。アオカビの特徴としては、食品類を好み、住宅内ではどこでも繁殖する可能性があります。
・ムコール(ケカビ)
ムコールの別名はケカビと呼ばれており、普段は水気の多い土の中や河川の近くに生えている植物に住み付いています。住宅内では、湿気の多い衣類や押入れの中で頻繁に発育します。また、風呂場や洗面台付近の壁、果物や野菜などの食品にも発育します。
・アスペルギルス(コウジカビ/クロコウジカビ)
アスペルギルスに関してはススカビ同様、アレルゲンになりやすいカビです。アスペルギルスの特徴としては、乾燥を好み湿度が低い場所にも住み付く傾向にあります。住宅内では、畳やカーペット、家具類、衣料品にも発育します。ハウスダストとなり、シックハウス症候群を引き起こしやすいので要注意なカビです。
ハウスダストについて
室内の空気中に舞っているホコリや塵などをまとめてハウスダストと呼びます。
また、ホコリや塵だけではなくダニのフンや抜け殻、カビなども含めてハウスダストという場合もあります。
ハウスダストの中でも粒径が大きいものは、人の鼻毛などに引っかかったり、自然落下してしまうのでそれほど健康被害はありませんが、粒径の小さなハウスダストは、呼吸により肺の奥まで入り込み沈着してしまいますので健康被害が大きくなります。
ハウスダストは、小さくなればなるほど空中に浮遊している時間が長くなります。
カビの測定方法
カビの測定は、カビを捕集(サンプリング)してカビを培養させて観察する流れで測定します。
測定方法には、空中浮遊カビの測定や付着カビの測定方法などがあります。
空中浮遊カビの測定方法
・インピジャー法:インピジャー法は液体衝突法とも呼ばれており、液体を測定する対象の空気に衝突させて、その液体に捕集させたカビを測定する方法です。
・ろ過法:ろ過法は、フィルターが装着された動力ポンプで測定対象空気を吸引し、そのフィルターに捕集されたカビを測定する方法です。フィルターの種類には、メンブレンやゼラチン、グラスウールなどがあります。
・衝突法:衝突法は、サンプラーの中にセットされている培地(カビを培養するための素地)を測定対象空気に衝突させてカビを捕集する方法です。サンプラーの種類には、穴あき型や回転型、スリット型などのタイプがあります。
空中浮遊カビの測定方法では、室内空気中のカビ濃度(カビのコロニー数)を調べることが出来ます。
付着カビの捕集方法
・払拭法:滅菌した綿棒などを用いて、測定対象の表面を拭き取り菌数を測定します。
・スタンプ培地法:スタンプ型の培地を直接、測定表面に押し付けて付着したカビを培地に転写する方法です。
・リンス法:測定対象の全表面または1部を抽出液に漬けてカビの抽出を行い、抽出液の中から菌数を測定する方法です。
・真空吸引法:真空吸引機を用いて、対象表面に付着しているカビを吸引し、吸引器のフィルターに捕集する方法です。
・アガーソーセージ法:ソーセージの形をした寒天の培地を対象表面に接触させてカビを転写する方法です。
・コンタクトスライド法:プラスチック製のプレートに培地となる寒天を充填して、カビ表面に接触させてカビを転写する方法です。
日本の住宅内における付着カビの捕集/測定方法は、主に払拭法とスタンプ培地法となっています。
その他のシックハウス関連については、室内環境空気測定|シックハウスのページを参照して下さい
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